「86中古やめとけ」という情報を目にして、不安になっていませんか。
86は走りの楽しさを追求したスポーツカーとして人気ですが、中古車市場には改造車、サーキット走行歴あり、修復歴ありの車両が多く流通しているのも事実です。
購入後に「こんなはずじゃなかった」と後悔しないためには、正しい知識と選び方を身につける必要があります。
本記事では、86中古が「やめとけ」と言われる7つの理由、改造車の見分け方、失敗しない選び方を徹底解説します。
86中古が「やめとけ」と言われる理由7選
理由1:改造車が多く流通している
トヨタ86はカスタムベース車として非常に人気が高いため、中古車市場にはエンジン、足回り、マフラーなど、あらゆる部分に手が加えられた改造車が多数流通しています。
特に、エンジンの出力向上を目的としたターボキットや、車高を下げるための車高調、そして排気音を変えるための社外マフラーの3点セットが装着されている車両が目立つでしょう。
これらの改造車は一見魅力的ですが、購入後に予期せぬトラブルや高額な出費につながるリスクがあります。
改造車を購入する際のリスクは、主に以下の3点が挙げられます。
- 車検不適合のリスク。
- 故障リスクの増大。
- 保険適用外の可能性。
車検不適合のリスク:社外マフラーが日本の近接排気騒音規制値(一般的に96dB以下ですが、車種・年式により異なる場合あり)をクリアしていない場合、車検に通りません。車検対応に戻すためには、純正マフラーを中古で購入・交換する必要があり、この費用が10万円〜15万円程度(目安)かかる場合があります。
故障リスクの増大:ターボキットを装着した車両は、ノーマル状態よりもエンジンに過度な負荷がかかっています。これにより、ピストンリングの摩耗やオイル漏れなどのエンジン関連のトラブルが発生しやすくなります。
保険適用外の可能性:車検証に記載のない改造(構造変更未申請)がある場合、万が一事故を起こした際に保険金が支払われない、という重大なリスクがあります。
理由2:サーキット走行歴がある車両が多い
86は設計思想として「走りを楽しむ」ことに特化しているため、オーナーの中にはサーキット走行やドリフト走行を楽しむ方が多い傾向にあります。
サーキット走行では、エンジンや足回り、駆動系に極めて大きな負荷がかかるものです。
高回転域を多用するサーキット走行では、エンジンオイルの温度が130度以上(目安)に達し、ピストンリングやバルブシールの劣化を早めることになります。
また、頻繁なシフト操作と高負荷な加減速により、クラッチディスクの摩耗も進行し、半クラッチ時に滑るような症状が出やすくなります。クラッチ交換費用は一般的に15万円〜20万円程度(目安)と高額です。
サーキット走行歴のある車両を避けるためには、以下の2点を確認しましょう。
- フェンダー内側の擦れ痕チェック。
- タイヤの偏摩耗確認。
フェンダー内側の擦れ痕チェック:グリップ力を高めるためにハイグリップタイヤ(幅の広いタイヤ)を装着してサーキットを走行した車両は、ハンドルを大きく切った際にタイヤがフェンダーの内側に接触し、擦れた跡が残ることがあります。ハンドルを左右にフルロックし、フェンダー内側を覗いて確認するのが重要です。
タイヤの偏摩耗確認:サーキット走行では、強い横G(横方向にかかる力)に耐えるためにアライメント(タイヤの角度)を調整していることが多く、タイヤの内側が外側よりも極端に摩耗する「偏摩耗」が見られます。タイヤの溝の深さが左右で2mm以上(目安)異なる場合は、サーキット走行歴がある可能性が高いでしょう。
理由3:事故歴・修復歴車が多い
スポーツカーは一般的な乗用車に比べて運転操作がシビアなため、事故率が高いという統計データがあります。
86の事故率は、一般的なセダンの約1.5倍(媒体参考)と言われており、中古車市場には修復歴車が多く流通しています。特に、カーブでのスピンアウトによる単独事故や追突事故が多いです。
修復歴車とは、車の骨格部分(フレーム、ピラー、ルーフパネルなど)を修理または交換した車両のことであり、安全性と走行安定性が低下するリスクがあります。直進安定性が悪い、ハンドルが左右に引っ張られる、異音が発生するといった症状が出ることがあります。
リスクの高い修復歴車を避けるためには、以下の3点を確認しましょう。
- 車両状態評価書の記載確認。
- 第三者機関の鑑定書取得。
- 塗装厚測定器での確認。
車両状態評価書の記載確認:修復歴がある車両は、販売時にその旨を通知する義務があり、車両状態評価書(査定票)にもその記載がされています。必ず「修復歴」欄を確認することが重要です。
第三者機関の鑑定書取得:販売店の「修復歴なし」という申告だけを鵜呑みにせず、AIS(オートオークション・インスペクション・システム)やJAAI(日本自動車鑑定協会)などの第三者機関が発行した鑑定書が付いている車両を選ぶことをおすすめします。
費用は車両価格に含まれていることが多いですが、正確な修復歴の有無がわかります。
塗装厚測定器での確認:修復歴のある箇所は再塗装されていることがほとんどです。純正の塗装厚が120〜150μm程度(目安)なのに対し、再塗装された箇所は180μm以上(目安)になる傾向があります。
塗装厚計(数千円程度の安価なものでも可)でリアクォーターパネルなどを測定することで、修復歴を間接的に確認できます。
理由4:年間維持費が高額(50〜70万円程度が目安)
86はスポーツカーという特性上、一般的なコンパクトカーやセダンと比較して維持費が高額になる傾向があります。特に若年層にとっては大きな負担となる場合があります。
年間維持費の目安は、年齢や走行距離にもよりますが、50万円から70万円程度(目安)を見積もっておく必要があるでしょう。
年間維持費の内訳を表形式で記載します。(※表内の数値も目安です)
| 項目 | 年間費用(目安) | 備考 |
| 自動車税(2.0L) | 39,500円 | 排気量による固定費(2019年9月以前登録の場合) |
| 任意保険(20代前半の目安) | 120,000円〜 | 実際は15〜30万円になる場合がある |
| 車検代(2年毎を年換算) | 60,000円〜 | 整備費用込みで2年で12万円~を想定 |
| ガソリン代(年間1万km、実燃費10km/L想定) | 180,000円(試算) | ハイオクガソリン代180円/L(市場価格参考)として試算 |
| メンテナンス(オイル交換、消耗品等) | 80,000円〜 | スポーツ走行をする場合はさらに増加 |
| 合計(駐車場代除く) | 約50万円〜 | 任意保険料やタイヤ交換頻度により変動 |
任意保険料:スポーツカーは事故率が高いため、特に20代など等級が低いドライバーの場合、保険料が非常に高額に設定される傾向があります。年間30万円(目安)近くかかるケースも少なくありません。
タイヤ代:86は走行性能を重視するため、スポーツタイヤ(例:ミシュラン パイロットスポーツ、ブリヂストン ポテンザなど)が推奨されています。これらのタイヤは高価であり、4本で10万円以上(市場価格参考)かかる上、走行頻度や使い方によっては2年に一度程度の交換が必要となるでしょう。
理由5:積載性が低く実用性がない
86は「2ドアクーペ」というボディ形状であり、実用性や利便性を犠牲にして、純粋に走りの楽しさを追求した車です。そのため、日常の買い物や家族での利用には多くの課題があります。
積載性の課題を以下の4点にまとめました。
- トランク容量237L(VDA方式)(軽自動車並み)。
- 後席は実質荷物置き場。
- チャイルドシート装着困難。
- 日常の買い物に不便。
トランク容量:86のトランク容量は237L(VDA方式)であり、これは一般的な軽ハイトワゴンよりも狭い数値です。ゴルフバッグは後席を倒せば積める場合もありますが、ベビーカーを積むと他の荷物がほとんど積めません。
後席:後席は「2+2シーター」と呼ばれますが、大人が座るには非常に窮屈で、長時間の乗車には全く向いていません。実質的には、上着やカバンを置くための荷物置き場と割り切るのが現実的でしょう。
チャイルドシート:ISOFIXなどのチャイルドシートを装着すること自体は物理的に可能ですが、2ドアで後席へのアクセスが悪く、狭い車内での取り付け作業が困難であり、日常的な利用には適していません。
日常の買い物:トランクが狭い上に開口部も広くないため、大きな荷物や大量の食料品を積むのには不便を感じる場面が多くなるはずです。
理由6:乗り心地が硬い
86は、走行性能、特にコーナリング時の安定性を最優先に設計されたスポーツカーです。そのため、一般的な乗用車とは異なり、サスペンション(足回り)が非常に硬く設定されています。
この硬いサスペンションは、カーブを高速で曲がる際には安定感をもたらしますが、舗装の悪い道路や街中の段差、マンホールなどを通過する際に、強い突き上げを感じることになります。
これにより、長距離運転ではドライバーの腰に負担がかかりやすく、高速道路を2時間以上運転すると疲労を感じやすいという声が多く聞かれます。
乗り心地の快適性を重視する方には、この硬さが「やめとけ」と言われる最大の理由の一つとなるでしょう。
理由7:パワー不足を感じる人が多い
初代トヨタ86(ZN6型)は、2.0L水平対向自然吸気(NA)エンジン(FA20型)を搭載しており、最高出力は200PS/7,000rpm(前期・AT)または207PS/7,000rpm(後期MT)でした。
これは現代のスポーツカーとしては控えめな数値であり、特にターボ車のような瞬間的な爆発的な加速を期待しているオーナーにとっては、期待外れとなることが多いです。
ライバル視されがちなスバルWRX STI(EJ20型 308PS)などと比較すると、直線での加速性能で見劣りするという評価が一般的です。
そのため、より速さを求めるオーナーは、社外品のターボキットやスーパーチャージャーを装着してパワーアップを図る傾向が多く見られます。(※理由1で述べた改造リスクが伴います)
86の真骨頂は「パワー」ではなく「軽量FRによるコントロールする楽しさ」にあるという点を理解しておくべきでしょう。
やめとけと言われる86中古車の特徴【実例紹介】
体験談1:改造車を購入して車検不適合、修理費30万円
Aさん(25歳男性)は、カスタム済みの2014年式86GTを120万円(媒体参考)で購入しました。
ターボキットと社外マフラーが装着されており、「お得だ」と即決しましたが、納車半年後の車検で社外マフラーが近接排気騒音96dB(規制値)を超えており不合格となりました。
純正マフラーを中古で探し、取り付け工賃を含め15万円(目安)を費やしました。
さらにその後、ターボキットの高負荷が原因でエンジンオイル漏れが発生し、修理に15万円(目安)がかかり、合計30万円の予期せぬ出費となり、「安物買いの銭失いだった」と後悔しています。
体験談2:サーキット走行歴ありでクラッチ故障、交換費15万円
Bさん(30歳男性)は、走行距離6万km(記録)で整備記録簿も揃った2013年式86GTを100万円(媒体参考)で購入しました。
しかし、納車から3ヶ月後、頻繁なシフトチェンジの際にクラッチが滑るようになり、ディーラーで診断したところ、クラッチディスクの極度な摩耗が判明しました。
これは前オーナーのサーキット走行による高負荷が原因の可能性が高く、交換費用は15万円(目安)かかりました。
車両を詳しくチェックしたところ、フェンダー内側にタイヤの擦れ跡が残っており、「サーキット走行歴の確認を怠った」ことを深く後悔しました。
体験談3:修復歴車を購入して直進安定性が悪い
Cさん(28歳男性)は、相場よりも安い80万円(媒体参考)で2012年式の86GTを購入しました。
販売店からは「修復歴なし」と説明を受けていましたが、納車後に高速道路を走行すると、車体が安定せず、常にハンドルが左に引っ張られることに気づきました。
不審に思い、第三者機関に鑑定を依頼したところ、車両のフロントフレームに修復歴があることが判明しました。
販売店は「見落としだった」と謝罪したものの、返金には応じてもらえず、Cさんは「鑑定書付きの車両を選ぶべきだった」と後悔しています。
体験談4:年間維持費が70万円超で手放すことに
Dさん(22歳男性)は、念願の86を手に入れましたが、年間維持費が生活を圧迫しました。
任意保険料が年間25万円(保険見積参考)、ガソリン代が年間12万円(試算)、タイヤ代(2年毎)の年換算が5万円(目安)。
車検代の年換算が5万円(目安)、駐車場代が年間12万円(地域相場参考、月1万円)となり、合計で年間74万円(試算)の出費となりました。(※税金等除く概算)
この維持費は給料の大部分を占めてしまい、「維持費が払えない」と判断し、わずか1年で愛車を手放すことになりました。スポーツカーの維持費を過小評価していたことを後悔しています。
体験談5:実燃費が悪くガソリン代が想定の1.5倍に
「27歳のEさん(会社員)は、デザインとFRの走りに憧れて3年落ちの86中古車を購入しました。
『カタログ燃費(JC08モードで12.4km/L程度)を見て、これなら通勤にも使えると思った』そうです。
しかし、実際の市街地走行ではメーター燃費が8km/L前後を示すことが多く、想定よりも大幅に悪かったとのこと。
さらに86はハイオク指定。結果として、月々のガソリン代が当初シミュレーションしていた額の1.5倍近く(月2万円超)になってしまいました。
『スポーツ走行をしなくてもこんなに燃費が悪いとは…通勤メインで使うには正直厳しい』と、経済的な誤算を後悔していました。
実燃費は乗り方や環境で大きく変わるため、あくまで目安ですが、過度な期待は禁物です。
失敗しない中古86の選び方5選
選び方1:ノーマル車(改造車を避ける)
失敗を避ける最も確実な方法は、純正の状態を保っているノーマル車を選ぶことです。
ノーマル車を選ぶべき理由は以下の3点が挙げられます。
- 車検が確実に通る。
- 故障リスクが低い。
- リセールバリューが高い(傾向)。
車検が確実に通る:純正の状態であれば、騒音規制や排ガス基準に適合しているため、車検で予期せぬ不合格となる心配がありません。
故障リスクが低い:改造車はエンジンや足回りにメーカーの想定以上の負荷がかかっている可能性があり、故障リスクがノーマル車より大幅に高くなります。
リセールバリューが高い:次に車を手放す際、ノーマル車は市場での需要が高く、改造車よりも高値で売却できる可能性が高いでしょう。
選び方2:走行距離5万km以下、整備記録簿あり
中古車を購入する際は、走行距離が5万km以下の車両を選ぶことをおすすめします。
走行距離が8万kmを超えた過走行車は、クラッチディスクの摩耗や、エンジンオイルの漏れ、足回りのブッシュ類など、消耗品の劣化が進行しているリスクが高まるからです。
特に、86のようなスポーツカーは高回転域を多用されることが多いため、一般的な乗用車よりも消耗品の寿命が短い傾向にあります。
また、整備記録簿は必ず確認しましょう。
整備記録簿には、前オーナーがどれくらいの頻度でオイル交換や点検を行っていたかの記録が残っています。
定期的なディーラーでの点検記録があれば、丁寧に乗られていた証拠となり、安心して購入できる材料となります。
選び方3:修復歴なし、事故歴なしを選ぶ
修復歴車、すなわち車の骨格を修理した車両は、走行安定性や安全性がメーカーの基準から逸脱している可能性が高いため、絶対に避けるべきでしょう。
フレームの歪みは、直進安定性の悪化や、タイヤの偏摩耗、最悪の場合、重大な事故につながる恐れがあります。
販売店が「修復歴なし」と表示していても、第三者機関(AISやJAAI)の鑑定書が付いている車両を選ぶか、鑑定を依頼し、修復歴の有無を正確に把握することが重要です。
この費用は惜しまず投資すべきでしょう。
事故歴(軽微な外板の修理)と修復歴(骨格の修理)は明確に異なります。修復歴は避け、事故歴については修理箇所と修理内容を詳細に確認するのが重要となります。
選び方4:認定中古車または保証付きを選ぶ
中古車は新車と異なり、予期せぬタイミングで故障するリスクが常にあります。そのため、購入後の安心を確保するために、保証の有無を確認しましょう。
認定中古車は、メーカーやディーラーの基準をクリアした車両であり、徹底的な点検整備が実施されています。
特にトヨタの認定中古車「T-Value」などは、1年以上の保証が付いていることが多く、納車後にエンジンやトランスミッションといった主要部品にトラブルが発生した場合でも、無償で修理を受けることができます。
これにより、高額になりがちなスポーツカーの修理費用を心配する必要がなくなるでしょう。
選び方5:試乗で異音・振動・クラッチの状態を確認
最終的な判断を下す前に、必ず試乗を行い、車両の状態を体感することが最も重要です。
試乗時にチェックすべきポイントは、主に以下の3点が挙げられます。
- エンジン始動時の異音。
- 走行中の振動。
- クラッチの遊び・ミートポイント(MT車)。
エンジン始動時の異音:エンジンをかけた瞬間やアイドリング中に、「カラカラ」「ガラガラ」といった異音がしないか確認しましょう。これはエンジン内部の深刻な摩耗を示している可能性があります。
走行中の振動:加速時や一定速度での走行中に、車体が不自然に振動したり、ハンドルが左右に引っ張られたりしないかを確認しましょう。これはフレームの歪みや足回りの異常を示すサインです。
クラッチの遊び・ミートポイント:マニュアル車の場合、クラッチペダルを踏み込んだ際の「遊び」が適切か、またクラッチがつながる「ミートポイント」が手前過ぎたり、奥過ぎたりしないかを確認し、滑りがないかをチェックしましょう。
中古86の改造車の見分け方
見分け方1:エンジンルームをチェック
エンジンルームは、改造や過度な負荷がかかっていないかを確認するための最も重要なチェックポイントの一つです。
チェック項目は以下の3点に絞られます。
- 吸気系パーツの交換痕。
- エンジンマウントの状態。
- 配線の加工痕。
吸気系パーツの交換痕:エアクリーナーやインテークパイプといった吸気系のパーツが、HKSやBLITZなどの社外品に交換されていないかを確認しましょう。これらは、より多くの空気を取り込み、エンジンの出力を高める目的で改造されていることが多いです。
エンジンマウントの状態:激しい走行をした車両は、エンジンの揺れを抑えるマウント部分のゴムが劣化(ひび割れなど)していたり、強化品に交換されていたりする可能性があります。
配線の加工痕:ターボキットやサブコンピューターといった電装系パーツを追加した場合、配線が純正の状態から不自然に加工・分岐されていることがあります。配線が整理されておらず雑な場合、素人による改造の可能性も疑われます。
見分け方2:足回りをチェック
足回りには、サーキット走行や激しい運転の痕跡が最も顕著に残ります。
チェック項目は以下の3点となります。
- 車高調の装着。
- サスペンション取り付け部の状態。
- タイヤの偏摩耗(再掲)。
車高調の装着:車高を自由に変えられる車高調整式サスペンション(車高調)が装着されていないかを確認しましょう。車高調が装着されている場合、スプリングの色が純正と異なったり、減衰力調整ダイヤルが付いていたりします。
サスペンション取り付け部の状態:サスペンションを取り付けているボルトやナットに、工具で締め付けたり緩めたりした痕跡(塗装剥がれや傷)がないかを確認しましょう。これは、頻繁に足回りのセッティング変更が行われていたサインかもしれません。
アライメントの狂い:試乗時にハンドルが常に左右のどちらかに引っ張られる、または直進状態でもハンドルがまっすぐではない場合、アライメントが狂っている可能性があります。これは縁石への衝突や、激しい走行が原因で起こることがあります。
見分け方3:マフラーをチェック
マフラーは排気効率や音を変えるために、最もカスタムされやすいパーツの一つです。
チェック項目は以下の3点を確認しましょう。
- 社外マフラーの装着。
- マフラーハンガーの状態。
- 触媒の有無(中間パイプ含む)。
社外マフラーの装着:排気音が大きすぎる、または純正とは異なるデザイン(例:大径出口、チタン色)のマフラーが装着されていないかを確認しましょう。社外品の場合、前述の通り車検不適合のリスクがあります。
マフラーハンガーの状態:激しい走行や車高を下げたことによる接触で、マフラーを吊っているゴム製のマフラーハンガーが歪んでいたり、切れていたりする場合があります。
触媒の有無:エンジン直後(エキマニ)やマフラーの途中に排ガスを浄化するための触媒(キャタライザー)が装着されていない(ストレートパイプ等に交換されている)場合、車検に通りません。また、触媒を外すと排ガスの匂いがきつくなるため、これもチェックポイントとなります。
見分け方4:内装をチェック
内装のチェックは、前オーナーの車両に対する使用状況(快適性重視か、走行重視か)を知る上で役立ちます。
チェック項目は以下の3点に注目しましょう。
- 社外メーターの装着。
- ステアリングの交換。
- シートの交換(痕跡含む)。
社外メーターの装着:純正にはない油温計、油圧計、ブースト計(ターボ車の場合)などの社外メーターがAピラーやダッシュボードに追加されていないかを確認しましょう。これらは、エンジンに高負荷をかける走行をする人が、エンジンの状態を管理するために装着している場合がほとんどです。
ステアリングの交換:純正のエアバッグ付きステアリングから、小径のスポーツステアリング(MOMOやナルディなど)に交換されている場合、サーキット走行を前提とした改造である可能性が高いでしょう。(※エアバッグ警告灯が点灯していないかも確認)
シートの交換(痕跡含む):純正シートから、レカロやブリッドといったフルバケットシートやセミバケットシートに交換されている場合、前オーナーは本格的にスポーツ走行を楽しんでいた可能性が高いです。
純正シートに戻されていても、シートレール取り付け部に工具の跡が残っている場合があります。
中古86のおすすめグレード
おすすめグレード1:GT(2016年式以降の後期型)
2016年8月以降の後期型GTは、走行性能と快適装備のバランスが取れた、最もおすすめできるグレードです。
主な装備や特徴は以下の点が挙げられます。
- LEDヘッドランプ&テールランプ(後期型デザイン)。
- 17インチ アルミホイール。
- VSC(スタビリティコントロール)にTRACKモード追加。
- エンジン出力向上(MT車:207PS)。
前期型に比べて足回りが改良され、エンジン特性も見直されています。初めて86に乗る方や、普段使いも両立したい方に最適なグレードとなるでしょう。
おすすめグレード2:GT Limited(2016年式以降の後期型)
GT Limitedは、GTグレードの装備に加えて、さらに快適性と上質感を高めた最上級グレードです。
主な装備(GTからの追加点)は以下の点となります。
- 本革×アルカンターラシート(シートヒーター付)。
- メーターバイザー等にアルカンターラ調表皮。
- リアスポイラー標準装備。
内装の質感が高く、長距離運転の快適性も向上しています。より上質なスポーツカーライフを送りたい方に検討をおすすめします。
おすすめグレード3:GR86 SZ(2021年式以降)
予算に余裕があるなら、初代86の後継モデルであるGR86(2代目)を選ぶのが最善です。
主な装備や特徴は以下の点が重要となります。
- 2.4L 水平対向エンジン(FA24型)。
- 最高出力 235PS。
- ボディ剛性の大幅向上。
- 先進安全装備(AT車)。
初代の「パワー不足(特にトルクの谷)」という弱点を克服し、排気量とパワーが大幅に向上しました。
高い動力性能と(ATなら)安全装備を求めるなら、GR86 SZ(またはRZ)が最も良い選択肢となるでしょう。
86とBRZ・ロードスターを徹底比較
86 vs BRZ(ZN6/ZC6型)(表形式)
| 項目 | 86 (ZN6) | BRZ (ZC6) |
| エンジン | 2.0L FA20 (200-207PS) | 2.0L FA20 (200-207PS) |
| 価格帯(中古 目安) | 120〜180万円程度 | 130〜190万円程度 |
| フロントデザイン | トヨタ独自デザイン | スバル独自デザイン |
| サスペンション設定 (一般評価) | やや硬め(オーバーステア傾向) | やや柔らかめ(安定志向) |
86とBRZは、エンジンやプラットフォームを共有する兄弟車ですが、サスペンションのセッティングと内外装のデザインに違いがあります。
一般的に、86はリアを積極的に動かす(オーバーステア)セッティング、BRZはより安定性を重視したセッティングと言われています。(※年式やグレードにより差があります)
また、フロントバンパーやヘッドライト、内装の加飾などに違いがあります。どちらが良いかは完全に好みの問題です。
86 vs ロードスター(ND型)(表形式)
| 項目 | 86 (ZN6) | ロードスター (ND) |
| 駆動方式 | FR | FR |
| ボディタイプ | クーペ (2+2) | オープン (2シーター) |
| エンジン | 2.0L (200-207PS) | 1.5L (132PS) / 2.0L (RF: 184PS) |
| トランク容量 | 237L (VDA) | 130L (VDA) |
| 燃費 (WLTC目安) | 11-12km/L程度 | 15-17km/L程度 |
86とロードスターは、同じFR(後輪駆動)のスポーツカーですが、コンセプトが大きく異なります。
86はルーフを持つクーペであり、ボディ剛性が高く、ロードスターよりは積載性があります(後席を荷物置き場として使える)。
一方で、ロードスターはオープンカーであり、屋根を開けて走る開放感は86では味わえません。
車体が軽く(約1トン)、燃費性能にも優れています。ただし、完全に2人乗りで、荷物はほとんど積めません。
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86中古購入でよくある質問(FAQ)
Q1:86の維持費は年間いくらかかりますか?
A1:年間維持費は、ドライバーの年齢や走行頻度によって大きく異なりますが、50万円から70万円程度が目安となります。
特に20代の方は、任意保険料が非常に高額になるため、年間70万円以上を想定しておくのが安全です。維持費が高額であることを事前に理解しておくのが重要です。
Q2:86は普段使いに向いていますか?
A2:街乗りでの使用は可能ですが、実用性は非常に低いと言えるでしょう。トランク容量が237Lと少ないため、大きな荷物の積み込みには苦労します。
また、後席は大人を乗せるには不向きなため、基本的に2人乗り+荷物置き場と割り切るのが賢明です。
日常の買い物や家族での利用には、別の車を検討するのが良いかもしれません。
Q3:86の燃費はどれくらいですか?
A3:初代86(ZN6)の実燃費は、市街地走行で10km/L程度、高速道路で13〜15km/L程度となることが多いようです。
スポーツ走行や高回転域を多用する運転をすると、さらに燃費は悪化します。
使用燃料はハイオクガソリン(無鉛プレミアム)であるため、燃料代はコンパクトカーより割高になります。
Q4:86とBRZの違いは何ですか?
A4:エンジンや基本骨格は共通ですが、サスペンションのセッティングと内外装のデザインが異なります。
一般的に86はドリフトなども想定した「やや硬め」でオーバーステア傾向、BRZは「やや柔らかめ」で安定志向と言われます。
フロントバンパーやヘッドライト、内装の加飾なども異なります。
Q5:86の中古車を選ぶ際の最重要チェックポイントは?
A5:最も重要なチェックポイントは、「改造されていないノーマル車であること」「サーキット走行歴がないこと(を見抜くこと)」「修復歴がないこと」の3点です。
これらを確認することで、購入後の高額な修理費用やトラブルのリスクを大幅に回避できます。鑑定書付きの車両や整備記録簿が揃っている車両を選ぶのが重要です。
Q6:86のクラッチはどれくらいで交換が必要ですか?
A6:通常の一般走行であれば、走行距離5万km程度で、交換が必要になることが多いでしょう。
ただし、前オーナーがサーキット走行や激しい運転を繰り返していた場合、3万km程度でクラッチディスクが摩耗し、交換が必要となる場合があります。
交換費用は、15万円から20万円程度を見積もっておくのが重要です。
Q7:86のおすすめグレードはどれですか?
A7:初代86(ZN6)のモデルであれば、走行性能と快適装備のバランスが最も取れている「GT(2016年式以降の後期型)」が最もおすすめです。
予算に余裕がある場合は、走行性能が大幅に向上した2代目モデル「GR86 SZ」を選ぶのが良いでしょう。グレード選びは予算と使用目的を考慮するのが重要です。
Q8:86の保険料は高いですか?
A8:はい、スポーツカーであるため、一般的な乗用車と比較して保険料は高めに設定されています。
特に20代の若いドライバーの場合、車両保険を含めると年間15万円から30万円程度、費用が発生する可能性があります。
無事故の継続やゴールド免許の取得により、保険料を抑えるのが賢明でしょう。
まとめ:86中古は「やめとけ」なのか
トヨタ86の中古車は、「やめとけ」と言われる多くの理由が存在しますが、それらは「選び方を間違えた場合」に発生するリスクです。
そして、リスクを回避するための確認事項が、以下の5点が重要です。
- 改造車を避ける(ノーマル車を選ぶ)。
- 整備記録簿と鑑定書を確認する。
- 予算に十分な余裕を持つ(維持費込みで)。
- 実用性の低さを理解する(2人乗りと割り切る)。
- 試乗を必ず行い、車両状態をチェックする。
これらのポイントを実践し、後悔のない中古86選びを実現するのが重要です。
参考サイト
- トヨタ 86 公式アーカイブ情報
- トヨタ GR86 公式サイト
- 国土交通省 自動車検査・登録ガイド
- 中古車情報サイト(カーセンサー、グーネット等)

