第18回『このミステリーがすごい!』大賞を受賞した小説『そしてユリコは一人になった』が玉城ティナ主演でドラマ化されました。
ただ、内容は原作である小説とは、かなり異なった解釈で放映されました。
『そしてユリコは一人になった』の小説とドラマの違いについて、簡単にまとめてみました。
本作品の内容に触れるネタバレが多く含まれていますので、ご了承ください。
原作と大きく異なるドラマ版『そしてユリコは一人になった』
小説や漫画のドラマ、映画化は原作と異なってしまうことはよくあるケースです。
しかし、犯人、展開こそ同じなのですが、『そしてユリコは一人になった』は別作品と思われるほど、小説とドラマでは内容が大きく異なります。
ですが、内容はそれぞれ違うとしても、作品としてはどちらも素晴らしいというのが感想です。
原作も素晴らしいですし、ドラマ版もとても素晴らしい内容に仕上がっていると思いました。
下記に、原作とドラマの異なる点についてまとめていきます。
ドラマ版はオリジナルキャラクターが出演している。
ドラマ版には小説には登場しないオリジナルキャラクターが存在します。
- 神崎真歩。木下壮太。進藤あきら。そして、由利小太郎の姉である、水島百合子(過去のユリコ様候補)が出演。
- 特別出演として、佐藤二朗もオリジナルキャラとして登場している。
- 嶋倉美月の容姿が原作と少し違う。
原作と違い、ドラマ版には神崎真歩。木下壮太。進藤あきら。そして、由利小太郎の姉である、水島百合子(過去のユリコ様候補)が出演しています。
それぞれがドラマ版の重要なキーパーソンになっており、彼らの登場が原作の流れを大きく変えていると言ってもいいでしょう。
※ 特別出演の用務員役の佐藤二朗も重要となります!
嶋倉美月は、木下壮太と進藤あきらが持つ何らかの弱みを握り、ユリコ様事件を影で操るサポートをさせていました。
そして、佐藤二朗演じる用務員もです。嶋倉美月はどのように彼らと関係を持ったのか?
ドラマでは明確にされませんでした。
事件の深層にある、由利小太郎と高見沢友利夫の関係を調べ上げた調査能力はただの用務員であるはずがないように思えるのですが…
そこを明確にしない演出が、嶋倉美月とその計画の神秘性を高めている雰囲気を感じさせられました。
また、嶋倉美月の容姿が原作と少し違います。
ただ、嶋倉美月を演じた玉城ティナの容姿がずば抜けて美しいので、彼女の良さを損なわせないために容姿を原作に近づけなかったのかもしれません。
事件の推理展開などは、ドラマ版はかなり省略している。
ドラマ版では、ユリ子様事件の推理展開をかなり省力しています。
- 松沢佑璃子の殺害時、屋上に鍵が掛かっていた件は省略。
- 科学準備室で焦げた糸くずがついたボタンが見つかる件も省略。
- 初代ユリコの日記内容が詳しく公開されない。
- そもそも嶋倉美月が殆ど推理らしいことをしていない。
『そしてユリコは一人になった』の原作は、きちんと読み込めば誰が犯人なのか?
文中にしっかりと書き込まれています。
特に、初代ユリコの日記内容を深く読み込むと、微妙な違和感があることに気がつく方もいらっしゃったのではないでしょうか?
ドラマ版では嶋倉美月が推理らしい推理をすることなく、事件の真相に至る方法は、佐藤二朗が演じる用務員からの調査報告という展開です。
由利小太郎と高見沢友利夫の関係。そして事件への動機が違う。
ユリコ様事件の犯人である、由利小太郎と高見沢友利夫の関係性。そして、彼らの事件への動機がそれぞれ異なっています。
- 由利小太郎の動機:自分がユリコ様になること。
- 高見沢友利夫の動機:ユリコ様伝説を百合ヶ原高校に深く伝播させること。
- 由利小太郎の動機:ユリコ様伝説の犠牲となった姉の復讐をすること。
- 高見沢友利夫の動機:由利小太郎との関係を深めるため。
- 原作:高見沢友利夫は、由利小太郎を操り利用している。
- ドラマ版:高見沢友利夫と由利小太郎は深い関係にある同性愛者。
原作では、高見沢友利夫は由利小太郎を焚き付けて利用していますが、ドラマ版では由利小太郎を『運命の人』として扱い、それが動機に結びついています。
嶋倉美月の八坂百合子に対する想いが違う。
ここが重要なのですが『そしてユリコは一人になった』の原作とドラマ版では、主人公の嶋倉美月の事件への動機、そして、八坂百合子に対する想いが全然違います。
- 原作:百合ヶ原高校を影で牛耳るために八坂百合子を利用していた。
- ドラマ版:八坂百合子をユリコ様に選ばるように暗躍していた。八坂百合子に対し、深い恋愛感情を抱いている雰囲気を感じさせる。
原作では、八坂百合子は嶋倉美月にとって利用するだけの存在となっています。
母親の言いつけに従い、八坂百合子を神輿にして自身が真のユリコ様になることを考えていましたが、ドラマ版では真逆の感情を抱いています。
嶋倉美月の母親はドラマ版では登場しません。
最後まで嶋倉美月が生存している。
『そしてユリコは一人になった』の原作とドラマ版では、結末も全然違います。
- 原作:岼子美咲に屋上から突き落とされ、事切れる場面で終了。
- ドラマ版:最後まで生存しており、岼子美咲に真相を見抜かれない。
原作では岼子美咲に真相を見抜かれた上、睡眠薬を盛られて屋上から突き落とされますが、ドラマ版では生存をしており、事件後は通常の生活をしています。
ドラマ版『そしてユリコは一人になった』を観るには?動画配信について。
『そしてユリコは一人になった』のドラマ版は、原作と遜色ない素晴らしい作品に仕上がっています。
ドラマ版はより幻想的な雰囲気で、主演の玉城ティナと岡本夏美の儚げな美しさが特長です。
そして、事件の核心は倒錯した恋愛感情がテーマになっていますので、かなり見応えがある内容になっています。
原作をご覧になった方は、ぜひ、ドラマ版も気になるという方は多いと思います。
『そしてユリコは一人になった』のドラマは、U-NEXTの独占配信になります。
31日間は無料で視聴することができますので、原作とドラマ版の違いを見てみたいと思われる方には、おすすめです。