「ご予算はどれくらいでお考えですか?」
商談テーブルに着いて、茶が出てきた直後。だいたいこのタイミングで飛んでくる。20年で16台買ってきたが、聞かれなかったことは一度もない。
結論から書く。最初の商談で本当の上限を正直に口にするのは、やめたほうがいい。
私はそれをやって、レヴォーグを値引き3万円で買った。直近の2026年1月、ヤリスクロスでは19万円引けている。何が違ったのかというと、車種でも交渉の腕でもない。最初に予算をどう答えたか、それだけだ。
この記事では、私が実際に商談で口にしている言い回しをそのまま書く。
📋 この記事でわかること
- 📌 正直に答えるとどうなるか——値引き3万円で終わった私の実例
- 📌 場面ごとの言い回し4つ——実際に口にした言葉と、営業マンにどう見えているか
- 📌 下取りを切り離したら23万円違った話——ディーラー査定は125万円だった
- 📌 数字を出していい唯一のタイミング——商談の何回目か
※本記事にはプロモーションが含まれます。
💬 予算を答えた瞬間、そこが値引きの上限になる
予算を正直に伝えると、営業マンはその金額に収まる見積もりを作り始める。親切に見えるが、実際に起きているのは別のことだ。
本来なら引き出せたはずの値引き枠を、こちらから放棄している。
⚠️ 「300万です」と言った時点で、値引きの天井は300万円に固定される。
営業マン側の理屈で考えれば当然だろう。客が300万で満足すると言っているのに、そこから20万引く理由がない。
予算というのは希望額のつもりで口にするが、相手には防衛線として届いている。しかも自分で引いた線だから、後から動かすのが難しい。
😔 レヴォーグで「予算ぴったり」に丸め込まれた話
私がここまで予算の扱いにこだわるのは、一度きれいにやられているからだ。
立川エリアのディーラーで、スバル・レヴォーグの初代VM型を検討していた時のこと。当時は完全に舞い上がっていて、営業マんにこう言ってしまった。
⚠️ 「総額350万円以内に収まるなら即決したい」——これが敗因だった。
営業マンは「350万あればGT-Sのビルシュタイン足とアイサイト付きが狙えます」と一気に前のめりになり、自信満々で見積もりを出してきた。
値引き3万円、総額348万円。見事なまでの予算ぴったりである。
契約してからみんカラの購入レポートや知恵袋を眺めていたら、同じ時期にレヴォーグで20万から25万引いているユーザーがゴロゴロいた。自分で天井を作ったのだと気づいたのはその時だ。
セブン-イレブンの駐車場で缶コーヒーを飲みながら、しばらく動けなかったのを今でも覚えている。20万円といえば、当時の私にとってはドライブレコーダーとナビとコーティングが全部載る金額だった。
「値引きが渋かったんじゃない。私が渋くさせただけの話だった。」
— 田中誠二
🚗 【実録】八王子のトヨタディーラーで、10万円だけ盛った

その反省を持って臨んだのが、2026年1月のヤリスクロス HV Zの商談だ。
🎯 茶が出た直後のジャブ
1回目の来店で試乗を終え、店舗の奥の商談テーブルに着いた。温かい緑茶が出された直後、チーフクラスの営業マンが切り出してくる。
「今日は具体的なお見積もりまで作ってみましょうか。ちなみに、ご予算の目安はどれくらいでお考えですか?」
来たな、と思った。私の頭の中の本当の限界はコミコミ290万円。ここで290万と答えれば、オプションを削って総額290万に合わせただけの、値引きの薄い見積もりが出てくる。レヴォーグで通った道だ。
🎯 3秒だけ黙ってから答えた
目線を落として、卓上のカタログの端をいじるフリをした。3秒ほど間を置く。即答すると、用意していた答えに聞こえてしまう。
そのうえで、こう返した。
「うーん、乗り出しで300万を切るくらいなら考えたいけど、まずは標準的なオプションを入れた諸費用込みのコミコミ価格を見てから判断したいですね」
口に出した300万と、本当の上限290万。差は10万円だけである。大きく盛ってはいない。
営業マンはフッと笑って頷き、「承知しました。HV Zですと、オプション次第でそこがちょうど境界線になりますね」と言って奥から見積書を持ってきた。
🎯 最初の提示は総額310万円
出てきたのは総額310万円、値引き5万円。こちらの希望を少し超えさせて反応を見る、これも定番の出し方だろう。
ただ、初回に「300万を切れば土俵に乗る」と刷り込んだことが、あとで効いてくる。4回目の商談で「今日ここで決める。端数を切って総額291万にしてくれたら印鑑を押す」と決算期を絡めて押し、19万円引きで決着した。
「初回の答え方は、その場をしのぐためのものじゃない。最終商談で使う材料を、一番最初に置いておく作業だと思っている。」
— 田中誠二
🎙 私が実際に使っている4つの言い方
ここから具体的な言い回しを書く。
先に断っておくと、これを「型」だの「テクニック」だのと呼ぶのは大げさすぎる。商談を何度もやっているうちに、これを言っておくと後が楽だな、という言い方がいくつか手元に残っただけの話だ。
こう聞いてみたらどうか、という程度のものとして読んでほしい。丸暗記する必要もないし、言葉遣いは自分に馴染むように変えてもらって構わない。
💬 ①着席直後に聞かれたら、本音に10万円だけ足す
🎙 こんな感じで
「乗り出しで◯◯万円を切るくらいなら検討の土台に乗りますが、まずは標準的な見積もりを見てみないことには何とも言えないですね」
◯◯に入れるのは、本当の上限プラス10万円。ヤリスクロスで私がやったのがこれだ。
完全にはぐらかすより、あえて数字を出したほうがいい。何も言わないと商談が前に進まないし、営業マンも見積もりの作りようがない。
💡 営業マンにはこう見えているはずだ
「この線を超えたら買ってもらえない」という目標が渡されたと受け取る。こちらは10万円の余白を握ったまま最終商談に入れるので、「あと10万引ければ即決が取れる」という一手が最後まで残る。
💬 ②試乗の直後に聞かれたら、基準を渡さない
🎙 こんな感じで
「予算は特に決めていません。この車に支払総額分の価値があるかどうかで判断するので、まずは今出せる一番いい条件の見積もりを出してください」
試乗直後は、向こうが「この客は乗り気だ」と読んでいる場面である。こちらが上限を渡さなければ、金額を合わせにいく手が使えない。
💡 営業マンにはこう見えているはずだ
上限が読めないまま渋い数字を出すと、比較検討で他店に流れる。だから1回目からある程度まとまった提示をせざるを得なくなる。
💬 ③「下取り込みで」と抱き合わせにされたら、切り離す
🎙 こんな感じで
「下取りは知り合いに譲るか専門の買取店に出すかもしれないので、一旦切り離してください。新車の本体とオプションからの値引きだけで、限界の総額を出してもらえますか」
予算まわりで一番危ないのがこの抱き合わせだと思っている。新車の値引きと下取り額を一緒にされると、下取りを少し動かすだけで値引きが出ているように見せられる。
総額しか見えていないと、そこで何が起きているのか分からない。
💡 営業マンにはこう見えているはずだ
下取りでごまかす余地がなくなり、純粋な新車値引きで勝負するしかなくなる。嫌がられるかというと、そうでもない。話が単純になるので、むしろ商談は早い。
💬 ④妻や家族が同席していたら、決裁権を渡してしまう
ヤリスクロスの商談には妻が同席していた。予算の話になった時、私より先に妻が口を開いた。
妻の実際の言葉:
「安ければ安いほどいい」
身も蓋もない。ただ、聞いた瞬間これは使えると思った。そのまま受けて、こう続けている。
🎙 こんな感じで
「まあ妻の言う通りでして(笑)。うちの場合、いくらまで出せるかというより、提示された金額に納得できるかで妻のOKが出るかが決まるんですよ。なので、まずは一番良い条件の見積もりを出してもらえますか。持ち帰って妻と相談します」
我が家は表向き私が決めることになっているが、実際は妻の条件を通ったものの中から選んでいる。だからこれは方便ですらない。
💡 営業マンにはこう見えているはずだ
「この人の一存では決まらない」「半端な数字を出したら持ち帰りで終わる」と判断する。後日、奥さんを説得するための材料という名目で、もう一段引いてくることもある。
「4つとも、やっていることは同じだ。まだ決められる状態にない、と伝えているだけ。嘘は一つもついていない。」
— 田中誠二
💸 下取りを切り離したら、23万円違った
③の話には続きがある。ここは格好つけずに書く。
ヤリスクロスの商談で、当時乗っていたN-BOX Customに提示されたディーラー下取り額は125万円だった。
その時点で私が持っていたのは「N-BOX Customなら、もう少し上があるんじゃないか」というぼんやりした感覚だけである。
相場をきちんと調べたわけではない。ただ新車の条件を先に固めたかったので、下取りは保留にして切り離した。
帰り道にオークション形式の買取サービスへ査定を出して、初めて数字を知ることになる。
💡 N-BOX Custom(JF3・2代目前期)の実際の金額
- 🏢 ディーラー下取り査定
125万円 - 🔨 オークション形式での実売却額
148万円 - 💰 差額
23万円
正直に言えば、私は勘で下取りを断って、後から調べて助かっただけだ。読みが当たったのではなく、運が良かった。
あの場で「下取り込みで総額◯◯万円ではいかがですか」と丸め込まれていたら、23万円はそのまま消えていた。
値引きで4回通って積み上げた19万円が、下取り一発で吹き飛ぶ金額である。
⚠️ 私のやり方に再現性はない。本当は、席に着く前に自分の車の相場を知っておくべきだった。
相場が頭に入っていれば、下取りを切り離すかどうかを勘ではなく数字で決められる。
「下取り込みで」と言われた瞬間に、それが妥当な数字なのかその場で判断できるようになる。私はそれができていなかった。
💡 参考情報・PR
商談へ行く前に愛車の相場を把握しておくと、「下取り込みで◯◯万円」という提案が妥当かどうかを、その場で判断できます。
💡 125万円から148万円までの全経緯
📝 そもそも、なぜ営業マンは予算を聞くのか
安く売ってあげたいから聞いているわけではない。当たり前の話だが、意外と忘れる。
目的は選別だ。この客はどのグレードを買える客なのか、そもそも自店で買う見込みがあるのか。それを早い段階で見極めて、商談を効率よく回したい。
⚠️ 予算を答えた瞬間から始まること
- 😔 値引きは増やさず、オプションやグレードを削って予算内に収める
- 😔 「ご予算に納まるよう上司に決済を取ってきます」と特別感を演出する
- 😔 下取り額を動かして、値引きが出ているように見せる
→ どれも限界の手前で契約に持ち込むための動きだ
🇪🇺 輸入車ディーラーは、そもそも直接聞いてこない
トヨタやホンダといった国産ディーラーは、着席直後か試乗直後に予算を探ってくる。私の経験ではほぼ例外がない。
一方、輸入車のディーラーで「ご予算は?」と直球で聞かれた記憶がほとんどない。
代わりに出てくるのが「今お乗りのお車のローンは月々どれくらいですか」「維持費のイメージはお持ちですか」といった周辺の質問だ。
聞き方は上品だが、やっていることは同じである。資金力を測っている。周辺の数字を答える時も、上限を確定させないという原則は変えないほうがいい。
✅ 数字を出していい、唯一のタイミング
ここまで言うなと書いてきたが、例外が一つだけある。
✅ 3〜4回目の最終商談で、即決とセットにする時
- 📌 「この装備とグレードで総額◯◯万円になったら、今日ここで印鑑を押します」
- 📌 数字を渡す代わりに、必ず即決を渡す
ヤリスクロスで19万円引けたのは、これを4回目にやったからだ。
初回に「300万を切れば」と置いておいて、最終回に「291万なら決める」で着地させた。同じ数字の出し方でも、置く順番で意味がまるで変わる。
裏を返せば、決定権を握った状態で土壇場の一押しに使う時以外、先に数字を明かして得することは何もない。
なお、この「何回目に何をやるか」という話は、そもそも何回通うのが適当なのかという問題と地続きになっている。
💡 通う回数で迷っている方はこちら
❓ 予算の答え方でよくある質問
❓ Q1. 予算を答えないのは、営業マンに失礼ではないですか?
🎙 私の回答
失礼にはあたらないと思う。ただ「言えません」と正面から拒否するのはやめたほうがいい。失礼というより、そこで商談が止まってしまう。
この記事で挙げた4つは、どれも拒否ではなく「まだ判断材料が揃っていない」と伝える形になっている。営業マンからしても見積もりを作る方向が決まるので、話はむしろ早い。
❓ Q2. 見栄を張って、実際よりかなり高い予算を言うのはどうですか?
🎙 私の回答
やめておいたほうがいい。上限を50万も高く言えば、その予算に合わせた上位グレードやオプション満載の見積もりが出てくる。そこから削る作業は値引き交渉ではなく、ただの仕様変更だ。
私が足すのは10万円まで。この幅なら見積もりの中身は変わらないまま、最終交渉で使える余白だけが残る。
❓ Q3. こちらから先に「総額◯◯万円でお願いします」と切り出すのはアリですか?
🎙 私の回答
初回にやると、レヴォーグの時の私と同じ結果になる。値引き3万円、予算ぴったりの見積もりだ。
同じ言い方が武器になるのは、3〜4回目に「その金額なら今日決める」とセットにできる時だけである。順番を間違えると、自分で天井を作っているだけになる。
💡 まとめ|予算を聞かれる場面は、断る場面ではない
最後に、これからディーラーへ行く方に向けて整理しておきたい。
💡 商談テーブルに着く前のチェックリスト
- ✅ ①本当の上限を自分の中で決めたか
口に出すのは、そこにプラス10万円 - ✅ ②今の車の買取相場を調べたか
下取りを切り離す判断が、勘ではなく数字でできる - ✅ ③下取りと新車値引きを分けて考えているか
混ぜられた時点で、値引き額は見えなくなる - ✅ ④数字を出すのを最終商談まで我慢できるか
即決とセットにして初めて武器になる
「ご予算は?」は、うまくかわして終わりにする質問ではない。最終商談で使う材料を、こちらから置きにいく場面だと思っている。
私はヤリスクロスで19万円を取り、下取りでは勘に助けられて23万円を守った。
後者は運でしかない。
同じことを運に頼らずやるなら、席に着く前に愛車の相場を確認しておいてほしい。それだけで、テーブルでの立ち位置がかなり変わる。
「16台買ってきて分かったのは、商談は席に着く前にほとんど決まっているということだ。」
— 田中誠二

